ハイドアンドシーク

税に関する小説は珍しいと思います…

NHKドラマ チェイス 国税査察官

2010年にNHKで、『チェイス 国税査察官』という夜のドラマが放送されました。
当時、私は税理士になるための勉強をしていた頃で、妻の薦めでドラマを見た記憶があります。
出演していた俳優は当時としても豪華なメンバーで、江口洋介、麻生久美子、ARATA、奥田瑛二などが出演しておりました。
音楽を菊地成孔が担当しており、菊地主宰のバンドであるDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENに興味があったため、音楽の面からも普段見ないドラマを観るきっかけにもなりました。
ドラマの内容は、国際的な租税回避であり、全体として華やかさのない暗いトーンで、私の好みに合っており、映像に引き込まれました。
特にARATAの怪演は印象的だった記憶があります。

そしてハイドアンドシークへ

チェイスのドラマのあと、しばらくしてからチェイスを監修した方が、小説を発表しました。
その著者が国税庁出身で、早稲田大学や日本大学などで教鞭をとられた伏見俊行教授でした。
その小説、ハイドアンドシークはチェイス同様、国際租税回避を行なうコンサルタントと国税庁調査官のせめぎあいが読みどころとなっております。
大蔵財務協会の雑誌に連載されていたものが、単行本として出版され、これまで三作刊行されております。
いずれも税に関する実用書とは異なり、サスペンス小説で、税に関する知識がなくても最後までしっかり楽しむことができます。

税に関する小説

税に関する小説は、あまりありません。
実用本は山のようにあり、雨後の筍(たけのこ)のごとく、毎年たくさんの本が出版されております。
また論文もたくさん書かれており、学術書や実用本の類は多いですが、創作的な小説はほぼ皆無といってよいのではないでしょうか。
自分が知るところでは、マンガの方がいくつか書かれており、税を徴収する側(国税庁)の立場のものが多いような気がします。
税を徴収する立場では、一般に受けないのかもしれません。

ハイドアンドシークは、国税庁と納税者の立場の両方が描かれております。
しかも国際租税ということで、専門性が高いことから、書ける人が限られているという事もあるのでしょう。
租税回避スキームを利用した件にまつわる裁判例を読むと、ドラマ性が高いものもあり、面白いと思うと同時に、内容は高度で複雑とも感じます。
これを小説に置き換えるという発想も感心しますが、知識も相当なものと感じております。
税理士試験の受験生の方も、試験の後にでも、一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。