分記法と総記法は業務で必要か?
簿記において商品売買の処理方法には、いくつかの種類があります。
実際の実務では、すべての方法を知っている必要はあるでしょうか?
三分法か売上原価対立法がほとんどかと…。
商品売買の処理方法
簿記において、売り上げと在庫の状況がわかるように記入していく
方法がいくつかあります。
最終的には決算の時点で売り上げも在庫もわかればよいのですが、
それでは途中の段階で、どのようになっているのかがわからないので、
なるべく早い段階でわかるようにするために、次のような方法で
帳簿に記入します。
・三分法
・売上原価対立法
・総記法
・分記法
総記法と分記法
それぞれの方法で、どのような処理になるでしょうか。
メリット、デメリットと各時点の仕訳で示すと次のようになります。
・三分法
メリット:売上は常に総額で把握可能。
デメリット:在庫と売上原価は決算時に判明。
商品仕入れ時
仕入 XX / 買掛金 XX
商品販売時
売掛金 XX / 売上 XX
決算時
仕入 XX / 繰越商品 XX
繰越商品 XX / 仕入 XX
・売上原価対立法
メリット:在庫と売上原価を常に把握可能。売上も総額で把握。
デメリット:売上原価を商品販売都度、計算する必要がある。
商品仕入れ時
商品 XX / 買掛金 XX
商品販売時
売掛金 XX / 売上 XX
売上原価 XX / 商品 XX
決算時
仕訳なし
・分記法
メリット:在庫を常に把握可能。
デメリット:売上原価を商品販売都度、計算する必要がある。
売上と売上原価を総額で把握できない。
商品仕入れ時
商品 XX / 買掛金 XX
商品販売時
売掛金 XX / 商品 XX
売掛金 XX / 商品販売益 XX
決算時
仕訳なし
・総記法
メリット:特になし
デメリット:在庫と売上原価は決算時に判明。
売上と売上原価を総額で把握できない。
商品仕入れ時
商品 XX / 買掛金 XX
商品販売時
売掛金 XX / 商品 XX
決算時
商品 XX / 商品販売益 XX
実務で使用されているのは
三分法と売上原価対立法が実務ではよく使用されているようです。
ITシステムの発展に伴い、売上原価の都度の把握が難しくなくなってきていることから、
ITシステムの投資が可能な大企業は売上原価対立法を採用するところが増えているようです。
では総記法と分記法はどうかというと、採用している企業はほとんどないようです。
簿記の試験では、まだ登場しているようですが、消滅する方向にあるのでは
ないでしょうか。