企業年金制度変更による過去勤務費用はなぜ遅延認識をするのか

企業年金の制度で、確定給付年金制度をおこなっている会社では、退職給付引当金を計上します。
この引当金の計上にあたって、過去勤務費用があるときのお話です。

雪があると、色々なものが遅れます。
車も電車も飛行機も遅れます。

退職給付の会計

会社が社員の退職金を準備しておいて、退職時に退職金を支払う方法を確定給付型年金制度といいます。
現在、大手の会社は確定「拠出」型の年金制度に変更しているため、確定給付型の年金制度の会社は少なくなってきておりますが、まだ存在しております。
この確定給付型年金制度を取っている場合には、会社側にて年金の積み立て不足が発生しないように、引当金を取っております。
これが退職給付の会計処理となります。

退職給付の会計処理においては、将来に支払う予定の退職金相当額を、現在の価値に直して、将来に向けて少しずつ、会社(実際には退職金を運用する組合や信託会社)に貯めておくというイメージになります。
毎年、お金を貯めていくのですが、途中で将来に支払う予定の退職金額が変更になることもあります。

過去勤務費用

退職金の制度の内容が変更になった場合には、すでに貯まったお金も、新しい制度に合わせて、修正する必要があります。
このすでに貯まったお金を、「過去勤務費用」といいます。
既に働いた勤務に対する退職金となるため、「過去」勤務費用で、この費用を修正します。
この場合、過去の費用であるにもかかわらず、なぜ遅延認識(あとに遅らせて、修正する分を直していくこと)することができるのでしょうか。
過去の費用なので、修正することに気づいた時点で修正すべきであって、あとに遅らせて、修正するのはおかしいような感じします。

遅延認識する理由

あとに遅らせてよい理由があります。
たとえば、新しい制度が、社員にとって有利になるような修正(将来の退職金額が増える修正)の場合、修正することで、将来にわたって社員がやる気を出し、制度が変更した後にそのやる気が出た分、あとになってその効果がでることから、それに合わせて、制度変更のあとに修正をするということになっています。
これは社員にとって不利になるような修正の場合も同様に、あとになってその影響が出ることから、同じ趣旨で修正することになります。

直接的には関係することはないかもしれませんが、遅延認識をするにも理由があることを知っておいても良いかもしれません。