原価計算には強制ルールがない?

2025年8月1日

法人において、原価の計算は必要です。
その原価の計算には強制されるルールはありません。

今は634mですが、この時はまだ408mでした…。大規模工事には原価計算は欠かせません。

原価計算には強制ルールがない?

先日、原価計算の講義を聴く機会があり、原価計算も専門とする某教授のお話で知りました。
税理士試験においては、原価計算は出題範囲から外れていることもあり(日商の簿記一級や
公認会計士試験の出題範囲にはあるようですが…)、
原価計算についてほぼ知識もなく、今回初めて学びました。

会計に関しては、会社計算規則(会社法)や財務諸表等規則(金融商品取引法)という法律で
決められたルールがあり、税金に関しては、法人税法や所得税法などの租税法という法律があります。
このため、根拠となる法律がないというのは、意外に感じました。

金融庁の企業会計審議会が、昭和38年(!)に原価計算基準を公表しておりますが、
特にこの基準に従う必要もないとされております。
この基準を設定した経緯を記したものが、ネットでも見られますが、確かにそこには
なるべく基準に沿うようにしてほしい、というように要望として書かれております。

ルールでなくてもそれにしたがう

それでは実際にルールがないので、原価計算基準にしたがうことなく、
好き放題に勝手に原価計算を行っているのかというと、そのようなことはないでしょう。

基準に従うことができないケースがあるのであれば、それ相応に理由があると思いますので、
どこからか聞かれたときでも、その理由を説明することになるでしょう。
その理由が適切であるかどうかは、その状況により判断ということかと思います。

実際にどのぐらいこの点が実務に影響しているは不明ですが、
長年にわたってルール化されていないということは、その必要性が現時点では
ないということになるのかもしれません。

会計と税務の違い

繰り返しになりますが、税務においては、それぞれの税金の種類別に法律がありますが、
法人税法でも、基本的には会計の基準にしたがう、ということになっています。
このため、法人税法でルールとなっていない部分は、会計のルールにしたがうことになります。

しかし、会計において、基準が決められていないことがあり、その場合、会社は法人税法の
ルールにしたがって、会社の経理を行うこともあります(「逆基準性」といいます)。

例えば減価償却においては、会計のルールではおこなってもおこなわなくても良いことになってますが、
法人税法ではおこなうことになっているので、法人税法のルールにしたがって処理をしています。

もともと会計と税務では、その目的が異なるので、このようなことがおこります。
会社にとっても、ふたつの異なる経理書類を作成することは、工数が膨大にかかるため現実的では
ないのですが、統一できないのが現状となっているようです。