原価計算には強制ルールがない?
法人において、原価の計算は必要です。
その原価の計算には強制されるルールはありません。
今は634mですが、この時はまだ408mでした…。大規模工事には原価計算は欠かせません。
原価計算には強制ルールがない?
先日、原価計算の講義を聴く機会があり、原価計算も専門とする某教授のお話で知りました。
税理士試験においては、原価計算は出題範囲から外れていることもあり(日商の簿記一級や
公認会計士試験の出題範囲にはあるようですが…)、
原価計算についてほぼ知識もなく、今回初めて学びました。
会計に関しては、会社計算規則(会社法)や財務諸表等規則(金融商品取引法)という法律で
決められたルールがあり、税金に関しては、法人税法や所得税法などの租税法という法律があります。
このため、根拠となる法律がないというのは、意外に感じました。
金融庁の企業会計審議会が、昭和38年(!)に原価計算基準を公表しておりますが、
特にこの基準に従う必要もないとされております。
この基準を設定した経緯を記したものが、ネットでも見られますが、確かにそこには
なるべく基準に沿うようにしてほしい、というように要望として書かれております。
ルールでなくてもそれにしたがう
それでは実際にルールがないので、原価計算基準にしたがうことなく、
好き放題に勝手に原価計算を行っているのかというと、そのようなことはないでしょう。
基準に従うことができないケースがあるのであれば、それ相応に理由があると思いますので、
どこからか聞かれたときでも、その理由を説明することになるでしょう。
その理由が適切であるかどうかは、その状況により判断ということかと思います。
実際にどのぐらいこの点が実務に影響しているは不明ですが、
長年にわたってルール化されていないということは、その必要性が現時点では
ないということになるのかもしれません。
会計と税務の違い
繰り返しになりますが、税務においては、それぞれの税金の種類別に法律がありますが、
法人税法でも、基本的には会計の基準にしたがう、ということになっています。
このため、法人税法でルールとなっていない部分は、会計のルールにしたがうことになります。
しかし、会計において、基準が決められていないことがあり、その場合、会社は法人税法の
ルールにしたがって、会社の経理を行うこともあります(「逆基準性」といいます)。
例えば減価償却においては、会計のルールではおこなってもおこなわなくても良いことになってますが、
法人税法ではおこなうことになっているので、法人税法のルールにしたがって処理をしています。
もともと会計と税務では、その目的が異なるので、このようなことがおこります。
会社にとっても、ふたつの異なる経理書類を作成することは、工数が膨大にかかるため現実的では
ないのですが、統一できないのが現状となっているようです。