国際的租税回避スキーム ダブル・アイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチ・サンドウィッチ

税金を法に触れないようにして、極力少ない税額に抑えることを、租税回避といいます。
GAFAと呼ばれる大手国際企業が使った租税回避の方法(スキーム)について紹介します。

名前から食べ物のサンドウィッチのように聞こえます…

租税回避スキーム概要

米国、アイルランド、オランダの税制をうまくつなぎ合わせて、税金を極力下げる方法が、ダブル・アイリッシュ・ウィズ・ア・ダッチ・サンドウィッチというスキームになります。
その名前の通り、アイルランドに2法人を設立して、その2法人の間にオランダの法人をはさむ取引を行うことで、税金を払わなくてすむように節税商品をスキーマ―と呼ばれる会社が設計し、大手国際企業がその節税商品を使用して、税金をかなり低く抑えました。

米国のチェックザボックス条項という、拠点の判定制度の利用、アイルランドと米国間のコストシェアリング契約、アイルランドの居住性判定の管理支配地基準、オランダの法人をはさむことにより、源泉徴収を免除できる制度の活用など、各国の税制を巧みに組み合わせて、全体の税金を低く抑えました。

最終的には…

欧州委員会がこのようなスキームは違法として、欧州裁判所で争いました。
最終的には、スキームを利用した企業の行為は違法とされました。
これにより、アイルランド政府も税率の見直しや優遇措置などの見直しをおこなうことになり、現在は同様なスキームは使用できない状況になっております。

企業と国はそれぞれ是正対応をせまられたことになりますが、そもそもこのような商品を設計したスキーマ―はどうなったかというと、特におとがめはなかったようです。

今後について

各国とも、このような国際的な租税回避スキームが、再発されるのを極力抑えていこうということで、BEPSに関するプロジェクトがOECD(経済協力開発機構)により開始されました。
BEPSとは「税源浸食と利益移転」の略語となります。
そのBEPSに対する行動計画のなかで、スキームを活用した場合には、その内容を報告することとされており、現在よりもスキーマ―の活躍の場が制限される可能性が高いです。

スキーマ―の会社も、商品を開発するのが仕事であるため、うまくかいくぐることのできるような方法を考え出してくるかもしれません。
これまでの、国と納税者(スキーマ―)とのいたちごっこに終止符が打たれるかどうか、このプロジェクトによる行動計画の実行状況が鍵になっていくのでしょう。