税関による事後調査と税務

貿易においては、関税と消費税が税務にかかわってくる部分となります。
この税務に関しての調査を事後調査と言います。

事後調査の対策は大変です…。

事後調査

貿易の場面でも、税金が関係してくることがあります。
それは関税と消費税です。

この関税と消費税は、輸入者の申告に基づき、納税されますが、この申告が適正かどうかを確認するのが、税関による「事後調査」です。
事後調査においては、貿易に関する輸出入の手続きの適正さを調査することになっておりますが、現実的には輸出の調査はほとんど行われず、輸入の調査がメインとなっているように思われます。
これは輸出に関する手続きの多くは、外為法における安全保障に関係する部分であることから、経済産業省管轄となっていることも影響しているのでしょう。
なお、経済産業省による外為法や安全保障に関する調査は、「事後審査」とよばれております。

さて、輸入に関する事後調査では主に何が確認されるでしょうか。
関税法や関税定率法などに基づいて、調査が行われますが、調査は税務調査と同じく、帳簿の保管の適切さを確認した上で、帳簿上の価格が適切かどうかを主に確認します。
インボイス、送り状、輸入申告書などに記載される貨物の価格が適正か、の確認となります。

その対策

貨物の価格が適正かどうかは、輸入時のインボイスの価格などを参考にして決まりますが、インボイスの価格には、その貨物の価格がすべて含まれているとは限りません。
インボイスの価格は、貨物の原価に運賃や保険料を乗せただけのものであって、たとえば、輸入者が負担した部品を使用して製造したにもかかわらず、それが含まれていないことがあったりします。
このようなことを避けるために、評価申告という輸入申告に追加する申告を行いますが、この評価申告が正しくなされているかを、税関は事後調査で主に調べます。
評価申告に関しては、別のブログに書いておりますので、こちらも参考にしていただければと思います。
→ 輸入の際に気を付けること - 評価申告

このため、対策としては、輸入時価格の裏付け、特に評価申告をきちんと行うという事になります。
この評価申告は、輸入通関を担当している部門でさえ、理解できている人が少ないため、営業や技術部門では理解されていないケースが多いです。
このことから、社内で評価申告について、どれだけ啓蒙できるかがカギとなるようです。

税務対応として

税理士法において、税理士の業務の範囲には、関税が含まれておりません。
このため、関税に関しては、税理士が関与することは難しいでしょう。
税関のHPの輸入事後調査手続に関するQ&Aにおいて、事後調査では税理士が立ち会うことはできないとは書いておりませんが、間接的に立会できないというニュアンスで書かれております。
消費税に関しては、税理士の業務範囲内でありますが、事後調査への立ち合いに関しては、税関の担当者と確認が必要になるでしょう。

税理士が関与できない場合、申告内容については輸出入を取り扱う業者との確認という事になり、また修正申告が発生する場合も業者に依頼することになるでしょう。