大学院で学ぶこと
資格を取得するために、いくつかの受験科目の受けなくてもよくなるように
大学院に通うという選択肢があります。
税理士資格を取得するための大学院通学について、私が知るメリットと注意点をご紹介いたします。
大学(院)のよくあるイメージ
大学院に通うということ
税理士になるためには、いくつかの方法がありますが、
王道としては税理士試験を受け、必要な試験科目をすべてクリアすることです。
しかし全ての試験科目に一気に合格することは難しいため、大学院に通い、
いくつかの科目を免除するという方法を取ることもできます。
この方法を選択する方も相当数おります。
私は税理士試験を受験していくつかの科目を取得した後、大学院に通える条件が整ったことから、
大学院を受験し、税理士資格を取得しました。
税理士試験受験中は、昼は仕事をし、夜に専門学校に通っておりました。
平日は仕事が優先されてしまうため、平日の夜に専門学校に通うことは、時間の調整が難しく、
多くのことを犠牲にする必要がありました。
土日も講義と自習を行う必要があったのですが、家族がいると育児、家事を負担することが
できず、家族の内の理解を得ることが必要になります。
しかし現実は、一方的に理解を得ることは難しいもの。
どうしても家族と仕事が優先となってしまうことから、効率的な勉強ができず、
学習時間が不足し、試験までに十分な準備を整えることができませんでした。
こうして、就職後に資格を取得するには、長い時間がかかったりします。
良かったこと
このように試験勉強は、多くの時間がかかるのですが、効率的に学習しないと
試験までに十分な準備ができず、良い結果を得られないことになります。
また1年に何度も受験機会があればよいのですが、税理士試験の場合は、
1年に1回しか試験が行われません。
一方、大学院の場合、学校を卒業し、国税庁の論文審査に通過できれば、
試験科目がいくつか免除されます。
それにくわえて、次のような良いこともあります。
・税法を学ぶことができる
専門学校では試験対策のための勉強となりますので、ひたすら暗記と計算を行うことが
多いです。暗記は税法(租税法)という法律を中心に行うのですが、条文を覚えることが
メインとなり、その法律ができた背景や考え方を学ぶ機会はあまりありません。
大学院では暗記は行いませんが、法律の成立の背景や考え方を学ぶことができます。
・会計学を学ぶことができる
先の税法と同様に、会計計算や色々な会計資料作成のもとになる背景や考え方を学ぶ機会を
得ることができます。
これらのことは本を通して知ることもできますが、私の場合、専門書は何度読んでも頭に入らず、
どなたかの解説がなければ理解できません。
このようなタイプの人は大学院が合うかと思います。
・時間の融通がきく
税理士試験は、年1回の受験のタイミングですべてが決まってしまいます。
家族、個人、会社の事情を完全に排除できればよいのですが、うまくできないこともあります。
大学院の場合、半期に一度の試験で評価される場合もありますが、多くはレポート提出や授業での
発言などで評価されることが多いです。
レポート作成は自分の都合に合わせて作成できるため、税理士試験のように年1回の特定の
120分の試験時間に全てを調整する必要がありません。
・計画を立てやすい
大学院は2年間と長期になりますが、2年を乗り切れば、試験科目がいくつか免除になるのは、
とても大きいです。
・暗記力や計算力よりも論文作成
大学院での論文の作成は大変ですが、税理士試験の暗記や計算スピード向上の努力とは異なります。
人によって向き、不向きはあると思いますが、私は長時間かかりますが、少しずつ進めていく論文
作成の方が性に合っておりました。
注意すべきこと
自分の生活環境の条件さえ整えば、大学院を活用することで多くのメリットを
得ることができますが、いくつか注意も必要です。
私が感じた主な注意すべき点は次の通りです。
・大学院に通える状況であること
通信制の大学院以外、実際に通学する必要があります。
このため講義の時間までに大学院に通えなければなりません。
・費用が相応にかかること
大学院の卒業まで2年かかりますが、相応な費用が掛かります。
国立の大学院で、税法論文の指導を行ってくれるところが近くにあればよいのですが、
国立大学院がなければ、私立の大学院ということになります。
私立の大学院の場合、2年で200万円が相場となります。
・論文指導をしっかり行ってくれる大学院に行くこと
国税庁に提出する論文作成をきちんと指導して頂ける大学院に行く必要があります。
せっかく大学院で勉強できても、論文指導ができる教授がいらっしゃる大学院は
それほど多くありません。
予備校を利用したり、大学院の説明会で、大学院の状況をきちんと把握する必要があります。
大学院が一方的に良いというわけではなく、選択肢のひとつとして考えるのもいいのではないかと考えます。
これらの注意すべきことを踏まえたうえで、大学院に通学して、資格を取得することはおすすめです。
税理試験、その他大学院を通じた試験科目免除を検討していらっしゃる方はご参考にして頂ければと思います。