AEO制度は中小企業でも取得するべきか?

貿易においては、AEO制度という世界的な制度があります。
中小企業においてもおこなうメリットはあるかどうか、考えてみました。

世界的な制度の割には、あまり知られていないような…。

AEO制度

AEOとは「Authorized Economic Operator」の略で、「認定事業者」という意味です。
このためAEO制度とは、「認定事業者」制度ということになります。

貿易にかかわる会社が、税関から認定を受けると、いろいろとメリットがあるという制度と
なります。
例えば、輸出する会社が認定を受けると、「AEO輸出者」という名前になり、
輸出をする際に、輸出の際の税関によるチェックを基本的にはしないとか、通関を他よりも
早い時点でおこなうことができるなどのメリットがあります。

しかも世界的な制度であるため、国同士が協定を結んでいる場合には、メリットが更に広がり、
輸出の時だけではなく、輸出されたものが、輸出先で輸入されるときにも、税関によるチェックは
基本的にはないという、制度になります。
税関によるチェックというのは、輸出入が認められているもの以外が貨物に入っていないかなどの
確認になります。
この確認がなくなると、普通に考えれば、輸出入のスピードが速くなることになります。

継続がポイント

こうしてみると、とても良い制度のように見えますが、認定をとるのに、とても手間がかかります。
まず会社の中のしくみを整える必要があります。
輸出する貨物の中に、変なものが入らないように、建物のセキュリティをしっかりしたり、
会社以外の人が建物の簡単に入れないようにしたり、人のセキュリティをきちんと
おこなわなければなりません。
セキュリティがしっかりしていることを証明する書類を揃えて、税関による実地確認などがあり、
ようやく承認が取れたとしても、その後にやることが、まだあります。

それは、AEO制度を維持できる状態であることを、定期的に税関に証明する必要があります。
この体制の維持がとても大変です。
1年に数回、税関に行って、大丈夫であることを説明することになります。
説明のために、最初に承認を受けた時の資料を見直して、作り変えるのです。
大変手間がかかります。

中小企業ではどうか?

大きな企業では、AEOの専任の担当者をつくり、何とか対応できるかと思います。
しかし中小企業では、よほどのメリットを見いだせない限り、会社の中の体制維持は難しいでしょう。
メリットをしっかり見極めたうえで、承認を得るためことを検討するのが良いかと。