5年ごとに退職を繰り返して、退職所得控除を受けられるか
退職を繰り返して、退職所得の控除を受けられるでしょうか。
退職所得についてのお話です。

この方たちには、退職はなさそうですね。
退職所得の控除とは
仕事を退職すると、退職金を一度にたくさんもらえるケースがあります。
日本は終身雇用制を取る会社が多いため、退職金の額も高額になることが多いです。
このような場合に、所得税が通常の給与と同じようにかかると、累進課税のため、たくさんの税金を納める必要があります。
退職金が老後の生活資金となることから、税金で多くとられると、生活資金も少なくなってしまうことなどもあり、通常の給与よりも有利な金額を差し引いたうえで、税金を計算することができます。
これを退職所得の税額控除と言います。
5年で退職を繰り返すとどうなるか?
以前に裁判があり、争われました。
税金を低くおさるという理由ではなく、中小企業では中途で解雇されることが多かったことから、退職金を5年ごとに給付してもらい、中途解雇に対応して、5年ごとに退職金を支給するという社内規定を作った会社がありました。
この5年ごとの退職金は、税務署は給与であるとしたため、裁判となりました。
結果としては、税務署(国)が勝ちました。
退職金として認められるためには、次の条件を満たしていなければならないのですが、その会社はこれらの条件を満たしていなかったとされました。
・退職という勤務の終了によって支払われるもの
・これまで勤務をした報酬などの後払いであること
・一度にまとめて支払われること
この会社は55歳で定年という規定があり、社員は5年経過しても、それまでと同じように勤務をしていたことから、会社を辞めるという形ではなかったため、退職金として認められませんでした。
10年ではどうか?
10年ごとに退職金を支給するという社内の制度ではどうでしょうか?
10年の場合でも、裁判がありましたが、5年の場合と同様に退職金としては認められませんでした。
しかし10年の退職金裁判では、ある裁判官の反対意見が付きました。
(裁判では多数派の裁判結果に対して、裁判官の反対意見や補足意見が付けられることがあります)
この反対意見では、10年という期間は長いため、退職金として認めるべきではないか、と述べられました。
近年、終身雇用制が崩れつつありますので、この反対意見はある意味では先を見越した意見だったという事もできるかもしれません。